ご家族がお亡くなりになって、相続が発生すると、遺言がない場合は故人の遺産をどのように分けるのかを相続人全員で話し合う「遺産分割協議」を行う必要があります。
「遺産分割協議」により相続人全員が合意した内容を記載したものが遺産分割協議書です。
遺産分割協議書があれば、不動産の所有権移転登記や預金の解約などの相続手続を行うことができます。
しかし、普通に生活しているとそう何度も相続をする経験などないため、実際に遺産分割協議書を作成しようとしても「遺産分割協議書の書き方がわからない!」という悩みに直面するでしょう。
そこで、この記事では、東京都中央区で相続事案に20年以上取り組んできた、相続や遺産分割に詳しい弁護士が、遺産分割協議書の書き方を解説いたします。
遺産分割協議書のひな型もダウンロードできるようにご用意しておりますので、あわせてご覧いただければと思います。
目次
- 1 遺産分割協議書に記載する項目
- 2 遺産分割協議書の作成方法
- 2.1 作成の手順
- 2.1.1 1、作成する様式を決めます。
- 2.1.2 2、タイトルを「遺産分割協議書」とします。
- 2.1.3 3、亡くなられた方の氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最後の住所地を記載します。
- 2.1.4 4、前書き(遺産分割協議が成立したので本遺産分割協議書の内容で遺産分割をするという内容の文言)を記載します。
- 2.1.5 5、プラスの財産(預貯金や不動産など)を誰がどのように相続するのかを記載します
- 2.1.6 6、マイナスの財産(借金やローンなどの債務)を誰がどのように相続するのかを記載します
- 2.1.7 7、遺産分割協議が終了した後に判明した財産(後日判明した財産)の取扱いについて記載します。
- 2.1.8 8、作成した年月日を記載します。
- 2.1.9 9、相続人全員の住所・氏名を記載し、署名と実印を押印して完成です。
- 2.1 作成の手順
- 3 気を付けるポイント
- 4 遺産分割や遺産分割協議書の作成でお困りの際は弁護士に相談しましょう
遺産分割協議書に記載する項目
遺産分割協議書に記載すべき内容は大まかには下記のとおりとなっております。
(引用)
・被相続人の氏名、生年月日、死亡日、本籍、最後の住所
・相続人の氏名、住所、関係(続柄)
・相続人全員が遺産分割協議で合意した内容
・誰が何をどのくらい相続したか
・後から発見された遺産をどうするか
・遺産分割協議が成立した年月日
・相続人全員の署名(または記名)と実印による押印
(引用)
遺産分割協議書の作成方法
作成の手順
遺産分割協議書の作成の手順は、下記のようになっております。
1、作成する様式を決めます。
遺産分割協議書は、遺言書と異なり、手書きでもパソコンでも作成が可能です。ですので、最初は遺産分割協議書を手書きで作成するか、パソコンで作成するかを決めます。
2、タイトルを「遺産分割協議書」とします。
3、亡くなられた方の氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最後の住所地を記載します。
この情報は、相続人調査の際に取り寄せている戸籍や住民票から把握できます。
4、前書き(遺産分割協議が成立したので本遺産分割協議書の内容で遺産分割をするという内容の文言)を記載します。
5、プラスの財産(預貯金や不動産など)を誰がどのように相続するのかを記載します
「1,2,3、、」と項目付けして記載していきます。この項目付けには定型はありませんので、分かるようにしておけば問題ありません。
6、マイナスの財産(借金やローンなどの債務)を誰がどのように相続するのかを記載します
こちらも項目付けして記載していきます。
マイナスの財産は遺産分割の対象にはならないと考えられていますが、実際上、遺産分割協議書に記載されることがあります。なお、遺産分割協議において一部の相続人のみが債務を承継する旨を合意したとしても、その合意は相続人の間では有効であっても、債権者との関係では、債権者が承諾をしない限り効力を有しないので注意が必要です。
7、遺産分割協議が終了した後に判明した財産(後日判明した財産)の取扱いについて記載します。
遺産分割協議後に判明した財産について、どのように取り扱うかを取り決めし、記載する項目です。
再度遺産分割協議を行う旨を記載する場合が多いです。
8、作成した年月日を記載します。
9、相続人全員の住所・氏名を記載し、署名と実印を押印して完成です。
遺産分割協議書の最後には、相続人全員の住所・氏名を記載し、自署の署名と実印を押印します。
※遺産分割協議書が複数枚になる場合、製本して実印を使って割印を押して完成となります。
気を付けるポイント
ここでは、遺産分割協議書を作成する上でのポイントをまとめました。
①代償分割をする場合の記載方法
遺産分割協議の結果、不動産や非上場の株式など、分割が難しく評価額の一部を現金で代わりに支払う、代償分割を実施する場合は下記のような記載が適切となります。
(引用)
1-1、相続人山田●●は、その取得した相続分の代償として、相続人佐藤●●に対して、金〇〇万円を支払う。
(引用終わり)
②相続人の中に未成年者や成年被後見人などがいる場合
相続人の中で、行為能力がないとされる人がいる場合には、未成年者の場合は親権者が、成年被後見人等の場合は家庭裁判所が選任した後見人等が、本人の法定代理人として遺産分割協議を行うことになります。
その場合、遺産分割協議書の最後の署名押印欄が通常とは異なる書式で記載する必要があります。記載方法は、相続人の氏名の後ろに法定代理人であることを明記し、親権者や後見人等の法定代理人が署名し実印で捺印を行います。
③不動産について記載する場合は登記簿謄本をそのまま写して記載しましょう
遺産分割協議書の中で、不動産の遺産分割について記載することがありますが、その不動産の内容を間違えないようにするために、登記簿謄本の内容をそのまま記載しましょう。
なぜなら、不動産の名義変更(相続登記)の際には遺産分割協議書が必要となり、不動産の登記簿謄本と遺産分割協議書に記載された不動産の記載が違っていた場合、最悪不動産の名義変更ができないことになる可能性があります。
確実に記載をするためにも、登記簿謄本を取り寄せておきましょう。
具体的に記載すべき部分は、下記のとおりです。
土地 |
所在、地番、地目、地積 |
建物 |
所在、家屋番号、種類、構造、床面積 |
※1建物がマンションの場合
マンションの1室が遺産である場合の書き方も、通常の土地や建物と同様に、登記簿謄本に沿った記載となります。ただし、この場合は、建物全体の記載をした後に所有している専有部分と持分である敷地権の記載をしなければならないため、表記が長くなります。
記載方法の例を以下に記載しております。
(引用)
一棟の建物の表示
所在 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2
構造 鉄筋コンクリート造り4階建て
床面積 1階 160.1m2
床面積 2階 160.1m2
床面積 3階 160.1m2
床面積 4階 141.4m2
専有部分の建物の表示
家屋番号 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2-401
建物の名称 401
種類 居宅
構造 鉄筋コンクリート造り1階建て
床面積 4階部分 54.4m2
敷地権の表示
所在及び地番 〇〇県〇〇市〇〇3-13-2
地目 宅地
地積 320.51m2
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 1万分の321
※2不動産が共有持分の場合
被相続人が土地の権利のうち、3分の1のみを所有している場合(これを共有持分といいます)、遺産分割協議書にもその旨を記載する必要があります。
こちらの記載は上記のマンションほど、手間はかからず、不動産の情報の最後に「持ち分」の表記をするのみです。
記載の例は下記のとおりです。
所在 〇〇県〇〇市〇〇3丁目
地番 2番11
地目 宅地
地積 55.51m2
持分 3分の1
④預貯金については口座番号まで特定できるように記載しましょう
預貯金については、金融機関名はもちろん、支店名、普通・定期などの種別、口座番号を特定できるように記載しましょう。
※生命保険金は、相続財産とならないため遺産分割の対象外となるので、遺産分割協議書に記載する必要はありません。また、死亡退職金は、受給権者が法律や内規等で定められている場合が多く、その場合には相続財産とならず遺産分割の対象外となるため遺産分割協議書に記載する必要はありません。
⑤必ず、自筆の署名と実印の押印をするようにしましょう
遺産分割協議書には、後日のトラブルを避けるためにも相続人全員が自筆で署名することになります。また押印は、必ず実印で押印しましょう。その際には印鑑証明書もセットで必要となります。提出先によっては、自筆の署名・実印の押印ではないと受理してくれない場合がありますので、必ず確認しましょう。
遺産分割や遺産分割協議書の作成でお困りの際は弁護士に相談しましょう
- 相続人全員が納得いくように遺産を分けたいが、関係性のよくない相続人がいる
- 亡くなった父には認知した婚外子がおり、その婚外子と遺産分割の話ができるか不安だ
- 遺産分割協議書を自分で作成する自信がないので専門家にお願いしたい
- 遠方に親戚がいる、自分の仕事が忙しい、相続人がたくさんいるなど、遺産分割を自力で進めるのが難しく、遺産分割協議書の作成から送付までお任せしたい
上記のようなことをお考えの方は、ぜひ一度、相続に強い弁護士に相談しましょう。
遺産分割協議は相続人全員の合意がないと成立せず、遺産分割協議が成立しないと遺産を分けることができません。遺産を分けることができないということは、例えば、遺産である預金の解約ができなくなったり、不動産の名義変更ができなくなったりと、相続人の方々がお困りになることがとても多いです。早期に遺産を相続人全員が納得できるように分配するために、トラブルや意見の相違が発生すると考えられる場合は、一度弁護士にご相談することをお勧めします。
また、遺産分割協議書は細かなことまで気を遣って作成することになります。
相続人全員の話し合いで遺産分割協議はまとまったものの、その内容を遺産分割協議書の形にするために大変な思いをされる方が多くいらっしゃいます。
さらに、遺産分割協議書の内容に不備が見つかり、再度遺産分割協議をすることになった事例や、場合によっては遺産分割協議書の作成をめぐって新たに争いが発生してしまった事例もございます。
そこで、当事務所では、遺産分割協議の交渉サポートに限らず、遺産分割協議書の作成のご依頼もお受けしております。
遺産分割や遺産分割協議書の作成などでお困りでしたら当事務所までお気軽にご相談ください。