遺産分割問題解決の流れ

さて、相続が発生して、遺産分割を行う場合、大きく分けると2つの流れがあります。

相続発生 → 遺言がある場合  原則として、遺言に沿って相続する
     → 遺言がない場合  相続人間で、遺産分割協書を作成の上、相続する

遺言がある場合

被相続人の遺言がある場合は、原則として、遺言に沿って相続を行います。

しかし、遺言書に形式的な不備があったり、本人が書いたものではなく偽造された疑いがある場合などは、遺言の効力が認められないことがあります。

このような場合、遺言書の効力を否定する側に立証活動が求められます。特に偽造の疑いがある場合などは、生前の被相続人に言動等から偽造であることを立証していく必要があります。具体的には日記や手帳のような被相続人の意思が推測しうるような資料が重要になってきます。この点、筆跡鑑定などで決着がつくのではないかとお考えの方もおられますが、筆跡鑑定だけでは裁判所は判断しません。あくまでも筆跡鑑定は、偽造を疑うきっかけとなりうる資料と考えた方がよいかもしれません。

次に、遺言の効力を否定するものとして遺留分減殺請求権というものがあります。例えば、兄弟が3人いるのに「長男に全てを相続させる」というような場合には、他の兄弟2人は遺留分を侵害されることになりますので、長男に対して、遺留分減殺請求を行うことができます。

遺言がある場合で、その形式に疑いがあったり、内容に納得がいかない場合には、専門家である弁護士にご相談ください。

仮に遺言によって、遺留分が侵害されている場合でも、遺留分を減殺請求するには期限がありますので、期限を過ぎて放置すると、請求が認められなくなりますので、ご注意ください。

遺言がない場合

被相続人の遺言がない場合には、法律によって定められた相続人(法定相続人)全員による、遺産分割協議書を作成することになります。
遺産分割協議書がなければ、被相続人の財産を相続する手続きを行うことができません。

この場合の遺産分割の流れは次のようになります。

①相続調査 → ②遺産分割協議 → ③遺産分割調停 ④審判 → ⑤遺産分割訴訟

①相続調査

遺産分割協議に当っては、相続人(法定相続人)と相続財産の確定が必要です。相続人の戸籍謄本の収集や、相続財産の目録を作成します。

遺産分割協議が終了後に、新たな相続人が見つかった場合などは、無効になってしまいますので、注意が必要です。相続人(法定相続人)の確定には、戸籍をたどっていく必要があり、専門的な知識が必要となってきますので、心配な点があるようでしたら弁護士に相談して確認をしてもらうことをお薦めします。

相続財産については、全て把握していないケースもあると思いますが、そのような場合でも心配はありません。相続財産は共有になりますので、処分するには相続人全員の同意が必要になってきます(預金債権のような可分債権であっても、銀行実務上、相続人全員の同意がないと払戻が受けられません。)。ですので、相続財産については、相続人全員で情報を提供し合いながら確定していく作業が必要となってきます。全員が把握していないような場合であっても、どこかに相続財産が存在することが確実であるような場合は、弁護士が独自に調査を行うことになります。

さらには、相続財産に含まれるものかどうかという判断も法的な知識が必要となってきますので、その点についても弁護士を通じて確認をされるべきでしょう。

なお、相続調査の結果、一部の相続人が、相続財産の使い込みをしていたことが発覚したような場合は、不当利得若しくは不法行為として民事訴訟の提起を行うこととなります。

②遺産分割協議

相続調査によって、相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行います。これは、相続人による話し合いです。話し合いがまとまった場合は、その内容にもとづいて、遺産分割協議書を作成し、これによって相続を行います。

③遺産分割調停

遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることになります。

調停とは、簡単に言うと、調停委員を仲介者とした交渉です。調停になった場合は、双方に弁護士がつく場合が多いと言えます。当事者同士で話し合いがまとまらない場合は、感情的なぶつかり合いとなり、無用に紛争が長期化することもあります。しかし、調停では、調停委員が第三者の立場から適切な解決方法を提示してくれることもありますので、かえって早期に解決するケースもあります。

④審判

調停が不調(不成立)になった場合、審判の手続きに移行します。審判では、裁判官が、双方の主張を聞いたうえで、審判を下します。イメージとしては、裁判に近いものと考えてよいと思います。相続人間で法的な主張を行い証拠を提出する必要がありますので、弁護士の選任は必要的なものになってくると思われます。

なお、審判に不服がある場合は、2週間以内に抗告する必要があります。

⑤訴訟

遺産分割の前提となる法定相続人の範囲や、相続財産の範囲、遺言の有効性などに関して争いがある場合は、調停などで話し合いを重ねても平行線を辿ってしまいますので、訴訟を提起する必要があります。訴訟になった場合も、弁護士の選任は必要的なものになってくると思われます。

 

遺産分割を行う場合、特に揉めている場合や、揉める可能性がある場合は、上記の解決までの全体像を見越した上で、最適な解決方法を考える必要があります。

話し合いで解決するほうが有利になるのか、訴訟を提起したほうが良いのか、あなたの状況によって、ケースバイケースです。

当然、弁護士にご相談いただく場合には、これらの全体像を踏まえて、最適な解決方法をアドバイスさせて頂きます。


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