依頼者(年齢・性別)
70代・女性
亡くなられた方
母
相談者の属性
長女
遺産種類
不動産、預貯金
争点
遺留分の侵害額
相談に至った経緯
被相続人である依頼者の母の法定相続人は夫が約10年前に死亡していることから子三名でした。遺産は自宅不動産と預貯金がありましたが、母には遺産のほとんどを長男に相続させる内容の公正証書遺言があり、同遺言によると依頼者である長女には約10万円ほどの預金を相続するのみであり、母の公正証書遺言により長男が依頼者の遺留分を侵害していることは明らかでした。
母の死亡から約10年前の依頼者らの父の相続の際に、父に遺言がなかったことから遺産分割をめぐって相続人間で紛争となり、この父の相続が原因となって相続人間は仲違いをしていました。このように、父の相続以来相続人間の対立が続いていたことから、母の遺言により長男が依頼者の遺留分を侵害していたとしても、遺留分侵害額請求について裁判外の手続で当事者間の交渉をしても合意に至らないことはある程度予測できる事例だったことから、当事者間の交渉を省略して遺留分侵害額請求の訴訟を裁判所に提起することになりました。
弁護士が対応したこと
遺留分侵害額請求訴訟においては、依頼者、相手方双方に弁護士が代理人として就いて審理が進められました。
一番の争点は、遺留分の侵害額でしたが、とりわけ都心部に位置する自宅不動産の評価額によって侵害額が変わってきます。これについては、双方が不動産の価格査定書を提出しても合意することは困難であったことから、双方から裁判所に申立をして裁判所が選任した鑑定人により不動産の価格鑑定をすることになりました。
結果
裁判所が選任した鑑定人の行った不動産の価格鑑定の結果に基づいて、遺産の総額及び遺留分侵害額を算定して、訴訟上の和解により依頼者が長男より遺留分侵害額相当の和解金を受取ることで解決しました。
裁判所選任の鑑定人による鑑定の結果は、当方の提出した不動産の価格査定書に近い金額であり長男から依頼者が支払いを受けた和解金の金額は、遺産のうちの預貯金の総額とほぼ同じ金額となりました。
弁護士所感
本件事例のように、当事者間で遺産の評価額について意見の相違がある場合、裁判手続によれば裁判所の行う鑑定を利用することができます。そして、裁判所による鑑定を円滑に進めるためには専門家である弁護士のサポートが不可欠であると思われ、本件事例でも当事務所が代理人として訴訟を担当することで円滑に不動産価格の鑑定を実施することができ、適正な不動産価格をもとにした遺留分侵害額請求の解決ができた事例だったといえます。