依頼者(年齢・性別)
70代・女性
亡くなられた方
父
相談者の属性
二女
遺産種類
不動産
争点
相続人全員の合意
相談に至った経緯
昭和30年代に父は死亡しましたが、依頼者の実家にあたる父が所有していた土地、建物は、相続人間での相続手続が行われず、不動産の名義は父が亡くなった後も父のままの状態でした。
その後、母も亡くなり、依頼者を含む子どもたちも就職、結婚などにより独立して実家を出てゆき、最終的に生涯独身であった依頼者の兄一人が実家で生活しておりました。この実家で過ごす兄が存命中は兄弟間で実家の不動産の相続の話が出ることはありませんでしたが、令和に入り実家で過ごす兄が亡くなった後に、昭和30年代に亡くなった父の名義のままにしておいた実家の不動産の相続の問題が兄弟間で持ち上がりました。
父の子は7名で依頼者は二女になりますが、兄弟の中には既に亡くなっている方もおり、その亡くなっている兄弟に関してはその子に当たる依頼者からみて甥姪が実家の不動産の相続についての相続人になります。そして、実家の不動産の相続について話し合いが必要になった当時には相続人の数が約20名もの多数となりました。その相続人の中には関西地方在住者など遠方に住んでいる方もいました。
弁護士が対応したこと
依頼者から父名義の不動産について相続人間での遺産分割の相談を受けましたが、上記のように相続人の数が多数に上り、しかも、なかには遠方に居住している人もいる状況からは、当事者どうしで話し合いをしても話し合いが成立する可能性は低く、また、当事者間での話し合いは多大な時間と労力を要することが考えられることから、遺産分割のための方法としては、当事者間での話し合いは行わずに、当初から家庭裁判所で遺産分割調停を行うことにしました。
結果
家庭裁判所での遺産分割調停でも、遠方に居住している相続人や、甥姪(被相続人の孫)といった相続人としての当事者意識が希薄な相続人が調停を欠席し、相続人全員が調停に出席することはありませんでした。
しかし、調停に出席した相続人の大多数が遺産である不動産を売却して売却代金を法定相続分で分ける内容の換価分割に同意したことから、家庭裁判所に「調停に代わる審判」を出してもらい、かかる審判に基づいて父の遺産である不動産の換価分割を行い、本件相続事案は解決いたしました。
なお、遺産である不動産は東京23区の中でもいわゆる下町といわれる地域に所在していましたが、近時の首都圏の不動産価格の上昇により予想外の高値で売却でき、換価分割により依頼者の方は思いのほか多額の金銭を得ることができました。
弁護士所感
家庭裁判所で調停を行うということは、一般の方にとっては負担が重いことのように感じられがちですが、本件事案のように相続人が多数に上る事案においては、相続人当事者間だけで話し合いをしても話し合いはまとまらず、かえって混乱し不要な紛争の種が生じることになる危険性があります。
そこで、相続人が多数になる場合には、相続人間での話し合いを省略して、当初から家庭裁判所に調停を申立てることが適切であることもあります。
そして、このように調停を申立てることが適切か否かという方法選択の判断には弁護士の知見が必要になります。また、相続人が多数に上る場合に調停を円滑に遂行するためには弁護士のサポートが必要となるでしょう。その意味では、本件事例は、依頼者のご依頼により弁護士として関与することにより、より良い問題解決ができた相続事案であったと思います。