1 まず、認知症の相続人に、自身で遺産分割を行うことができるだけの判断能力があるのかが問題となります。そこで、当該相続人に遺産分割を行うだけの判断能力があるか否かについて医師の診断を受けることになります。
2 そして、医師により、軽度の認知症で当該相続人に自身で遺産分割を行うだけの判断能力があるとの診断がなされれば、当該相続人自身で遺産分割を行うことができますが、当該相続人自身で遺産分割を行うだけの判断能力がないとの診断がされた場合には、家庭裁判所に成年後見人等の選任を申立てることになります。
そして、成年後見人が選任された場合には、成年後見人が相続人の代理人として遺産分割を行うことになりますので、成年後見人の選任が必要な場合は、成年後見人が選任されるまで遺産分割を完了することできないことになります。
3 一方で、例えば、遺言書がある場合や認知症の相続人が唯一の相続人である場合等、遺産分割をする必要がない場合には、遺産を取得するにあたっては成年後見人の選任の必要がありません。しかし、当該相続人に相続によって取得した遺産を管理するだけの判断能力がない場合には、適正な財産管理を行うために成年後見人の選任が必要となります。
4 以上のように、認知症の相続人がいる場合には、判断能力の有無を医師に診断してもらうことが必要であり、医師の診断の結果、成年後見人の選任が必要となった場合には、手続に時間を要することが考えられますので、相続が開始された際には、なるべく早期に医師の診断等の準備を進めることが重要となります。また、認知症の相続人がいる場合には、専門知識が必要な手続もありますので不安がある場合には、なるべく早期に弁護士に相談することをお勧めいたします。