生前対策をお考えの経営者の方へ

Q1 事業承継とは最近よく聞きますが、具体的にどのようなサービスを受けられるのでしょうか。

A1 当事務所では、不動産や株式を中心とした財産の適正な承継を中心に扱っております。そのための方法として、公正証書遺言の作成、会社の定款の見直し、遺留分の算定に関する合意書の作成を行うこととなります。また、会社経営や不動産運用に空白が生じないよう必要に応じて任意後見契約書の作成や信託契約等を行うことをお勧めしております。

なお、株価の評価については、当事務所の提携税理士や会計士にお願いすることも可能です。

また、事業承継をしないという選択肢をとられた場合は、会社の清算又は破産手続きの申立てを行うこととなります。

 

Q2 遺言書を作成しないと何か不都合が生じるのでしょうか。

A2 法定相続分での相続となりますので、株式が分散する危険性があります。株式が分散すると経営の安定性が損なわれる可能性があります。

また、遺産分割協議を経なければなりませんが、それなりの時間を必要としますので、会社経営に空白が生じる可能性があります

 

Q3 遺言書はどのような形式で作成すべきですか。

A3 当事務所では公正証書遺言の作成をお薦めしております。公正証書遺言を作成することで形式不備等によって遺言書が無効となることが防げます。

但し、公正証書遺言も万能ではありません。遺言書は何度も書き直しが出来ますので、複数の遺言書が出てくるということもあり得ます。その際は、日付の新しい遺言書が効力を有することとなりますが、相続人間の中では、被相続人の意思とは異なることを理由に裁判となるケースもあります。被相続人に認知症が発症していたような場合は特にそのようなリスクは高くなるものと思われます。

そこで、当事務所では、ケースに応じて、事前に任意後見契約を締結するほか、特定の財産(主に不動産や株式が想定されます。)について信託契約を締結することも提案させていただいております

 

Q4 遺言書は書き直すことはできますか。

A4 遺言書は何度でも書き直しできます。最後に作成された遺言書の内容と矛盾抵触する以前の遺言書は効力を有しなくなります。それゆえ、一度、遺言書を作成されても、後継者や相続人は不安定な地位におかれていると言っても過言ではありません。痴呆などが生じたときに、第三者に唆されてまったく異なる内容の遺言書を作成してしまうというリスクもあります。

他方、信託契約は、あくまでも契約ですので勝手に契約を破棄することはできません。それゆえ、信託契約を行うことで(信託契約終了時に信託財産である株式を後継者に帰属させることとなります。)、後継者も安心して、経営に専念することができるという効果があります。

 

Q5 後継者に少しずつ株式を贈与していますが、何か問題がありますか。

A5 他の推定相続人の遺留分を侵害しないようにすることが重要です。仮に、遺留分侵害となった場合、他の推定相続人から後継者に対して、株式の引渡請求がされてしまい、株式が分散する結果となってしまいます

なお、後継者の経営努力によって株価が上昇していた場合、他の推定相続人はその上昇した株価を基準に遺留分侵害を計算することができます。

このような事態になれば、何のために経営努力を行ってきたのか分からなくなり、後継者の経営意欲を削ぐことになりかねません。

 

Q6 会社の株式を全て後継者に相続させると、どうしても他の相続人の遺留分を侵害していまいます。何か対策はありますか。

A6 経営承継円滑化法の活用を用いることを検討すべきです。旧代表者の株式を後継者に贈与し、他の推定相続人との間でこれを遺留分基礎財産に算入しないことや(除外合意)、贈与時の価額で遺留分基礎財産を計算する旨の合意(固定合意)することができます。固定合意ができれば、A5で解説した後継者の経営意欲を削ぐようなことは回避することができます。

また、株式には、配当を受ける権利である自益権と、議決権を行使する共益権という二つの権利が内包されております。この権利を分離して、後継者に議決権を行使する共益権を全て承継させ、自益権を法定相続に応じて承継させるということも考えられます。共益権は財産的価値が0と評価されますので遺留分の問題を回避することもできます。具体的な方法としては、種類株式の導入や、株式を信託財産化し相続人を受益者としますが、後継者にのみ議決権の行使を指図する権利をもたせるという方法もあります。

 

Q7 他の推定相続人が、株式を遺留分基礎財産に算入しないことを簡単に合意するとは思えません。

A7 その他の推定相続人が取得した財産を遺留分基礎財産に含まないこととする合意をすることで、バランスを図り、他の推定相続人の納得得られることができます(経営承継円滑化法6条2項)。

また、A6で述べたように、種類株式の導入や、株式を信託財産化することでも対応できます。

 

Q8 親族以外の従業員を後継者にする場合、気を付けることはありますか。

A8 株式が親族、経営が親族以外の者となり、所有と経営が分離してしまい中小企業や零細企業では経営が不安定(代表者の地位が不安定)となってしまいます。後継者には時間をかけて株式を譲渡(EBO)するべきでしょう。

 

Q9 会社の定款の見直しとは、どの部分を主に見直すのでしょうか。

A9 株式の発行形態を見直します。株式の分散を防ぎ安定した経営を実現することが可能となる種類株式の導入の検討です。

 

Q10 どのような種類株式があるのですか。

A10 以下のような種類株式が有効であると考えます。
    ①議決権制限株式(会社法108条1項3号)
    ②拒否権付種類株式(会社法108条1項8号)
    ③全部取得条項付種類株式(会社法108条1項7号)

 

Q11 黄金株というのを聞いたことがあるのです、それは何ですか。

A11 拒否権付種類株式のことです。特定の決議事項について株主総会や取締役会の決議の他に、種類株主総会決議が必要となるため、そこで拒否権を行使できるというものです。取締役の選任解任決議などで威力を発揮します。

 

Q12 当社にも種類株式を発行する必要がありますか。

A12 全ての会社に種類株式が必要となるわけではありません。株式の分散化のおそれがどの程度があるか、ケースバイケースで判断されるべきです。

 

Q13 株式の評価の見直しとは、何を目的とした作業なのでしょうか。

A13 遺留分侵害を防止するためと、相続税、贈与税が過大に課されないようにするためです。どのタイミングで株式を後継者に贈与するかを決める際には、必ず株式の評価をする必要があります。贈与税がかからない間に株式を後継者に承継させるということも検討すべきだと思います。

なお、株式の価値が0の間に後継者に株式を贈与する際、A5で述べたように、後継者の経営努力に配慮する必要があります。後継者が、頑張って経営を軌道に乗せ株式の価値が高くなると、他の相続人から遺留分侵害を主張される可能性が出てきます。そのようなことにならないためにも、A6で述べた贈与時に経営承継円滑化法の活用も併せて検討をすべきです。

 

Q14 任意後見契約とは何ですか。

Q14 旧代表者の判断能力が不十分な状態になったときに、その旧代表者の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部について代理権を付与する契約です。旧代表者の不測の事態に備えて予め契約をしておきます。

なお、旧代表者の判断能力が低下し、任意後見監督人が選任されたときに契約の効力が生じます。

 

Q15 なぜ事業承継に任意後見契約が必要なのでしょうか。遺言書だけでは足りないのでしょうか。

A15 遺言書を作成する際、生前と死後の間に判断能力が低下(喪失)する時期があるというのを意識することが重要です。超高齢化社会となっている現在、会社の代表者が認知症により判断能力が低下する時期を意識した事業承継(相続)が求められます。

仮に、会社の代表者が認知症により判断能力を失った場合、どうなるでしょうか。何も法的な手当をしていない場合は、裁判所に成年後見人の選任申し立てを行うこととなります。成年後見人は親族よりも弁護士や司法書士などの専門家が選任されることが多いとされています。そうすると、成年後見人は、本人の生活を維持することを目的として財産管理を行いますから、これまで会社の代表者が考えていた財産の相続、承継とは全く異なる方針で財産管理が行われることとなります。これでは、会社代表者がせっかく考えていた適切な事業承継も無に帰してしまいます。

そこで、事前に会社代表者の判断能力がしっかりしている間に、親族(後継者)を後見人とした任意後見契約を締結する必要があります。任意後見契約を作成する段階で、会社代表者の意思も明らかとなり、後継者もその意思を受け継いで財産管理を行うことができるようになります。

ただし、任意後見契約は、あくまでも会社代表者本人の生活を守ることが中心となる制度です。ですから、後継者が任意後見人となったとしても、自身のためや会社のために財産を処分することは制限されてしまいます。事業承継という意味では、この任意後見制度も完全なものではありません。

ですので、ケースによっては、会社の株式や不動産については、あらかじめ後継者との間で信託契約を締結することも検討するべきだと思います。信託契約を結んでおけば、会社代表者の財産ではなくなるので、仮に会社代表者に認知症が発症しても成年後見人が管理する財産に含まれませんし、会社のために財産を処分することも可能となります。

なお、信託契約において、判断能力に問題が生じた場合の取り決めも行っていれば、経営に空白を生じさせることはありません。

 

Q16 後継者が決まらずに困っています。今後どうしたらよいでしょうか。

A16 M&Aという手法もあり得ます。他方で、会社を廃業するという方法もあります。廃業するには清算手続、特別清算手続、破産手続という方法のいずれかを採ることとなります。

 

Q17 中小企業や零細企業でもM&Aという手法ととることができるのでしょうか。

A17 現在、中小企業や零細企業でも活発にM&Aが行われているケースもあります。但し、長期間にわたる準備が必要なケースも多いため早めに相談されることをお勧めします。

 

関連する解決事案はこちら

*依頼者Cさんが後継者問題でトラブルにあった事案


経営者の相続トラブル解決の豊富な経験 03-6226-5096
生前対策 Q&A 経営者・個人事業主が知っておきたい相続・承継に関するQ&Aを集めました
地方・遠方で相続トラブルにお困りの経営者・事業主様のための出張相談実施中
PageTop